2月23日
 
 
 世界は砂糖だらけで、甘い匂いでいっぱいだった。くまは人々の目のしたにあたたかなねどこをこさえ、夜中になるともぞもぞとおきだした。戸棚のなかのジャムをふたつの手にいっぱいにとって、たいせつになめまわし、そこらじゅうをおどりまわるので、だいどころはべとべとになった。とてもゆかいだった。つぎの日のあさにはママがだいどころをおこりながら布巾でふいたあと、めだまやきをやいた。
「くまを夜中にはなさないでちょうだい」
 おさらのうらがわは、せっけんでとれなかったジャムがまだすこしのこっていて、金色にひかっていた。いとこのおかあさんのつくったマーマレードだった。いとこのおかあさんはいつもわらっていて、うまれてから一度もおこったことがなかった。ちいさなころに妹がうまれたとき、かなしくてないたついでにおこったことをわすれていた。その日は夏のさいごのひで、しんだおじいちゃんが家にやってきた。おじいちゃんは牛にのってかえるときに、らいねんにはちいさなときのまだいとこのおかあさんでなかったいとこのおかあさんが、妹といっしょにげんきにわらえるよう、きりん座に祈った。きりん座ができたときには地球はまっしろけで、ところどころにある火山が、ほそい煙を17年と半年に一度はくことだけが地球のうごきでしたから、ずっとさきに地球がとてもゆたかなものになり、あおくなってしまうとは、だれもおもわなかった。地球はしばらくすると、さまざまの色がひろがり、しんだひとがいったりきたりできるくらいのひろさと、知恵をもった。ひとがうまれたころは12月31日で、それぞれがおおきな家族でそれぞれのくらしをたてていた。チョコレートも、塩も、マフラーも、大きなダムも、電話もじゅうぶんにつくれるくらいに、おおきな家族になっていた。
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